03. 学習の留意点

・基礎学力

高専は実践的技術者を育てるのを目的としていますが、その前提として高度な教養を持ち合わせバランスの取れた人間である事が重要です。5年間のユニークな一貫教育を行っている中で、カリキュラムは低学年に一般教養を多く、高学年に専門科目を多くクサビ形に教科を配置し、技術者への階段を無理なく上がれるように配慮してあります。まず、国語や英語は人間にとって情報を伝達する言語による手段を学ぶ学問で、これらの手段は他の生物には無い能力です。論理的に物事を考えたり記述したりするのも言語です。従って、技術を身につける上で無くてはならないものであり非常に重要である事が理解できると思います。また、最近は国際化が急激に進み、世界標準となる言語は英語になってきています。物理は自然現象を探求し理解する基礎的な学問であり、その一部を詳しくしたものが電子制御工学科で学んでいる専門になります。数学は科学を解明するとき用いられる最も強力な道具であり、おそらく工学と名の付く全ての専門分野に共通する最も重要な科目です。社会系の授業も、エンジニアの倫理、技術史、特許、経営等に関係して必要不可欠です。以上の様に専門に関係なさそうな教科も互いに関連しているので、しっかり勉強する必要があります。

・専門科目

電子制御工学科は電気電子工学を基礎にしており、情報工学、制御工学、電気電子工学の3分野から成る柱で支えられています。システムを含む制御は高度な数学や広い知識及び応用力が必要になるため、制御系の科目は高学年に集中しています。電気電子はその基礎に位置しているため、低学年から学習を始めています。情報も同様ですが、本科が目的とする物を制御するのに必要な情報工学は高学年を中心に授業が行われます。本科の教育は卒業研究で仕上げになります。それまでに学んだ事柄を利用し出力する練習を重ね、頭と手が繋がったバランスのとれた技術者の卵の誕生です。

・学生実験

座学ばかりで知識のインプットだけでは、偏った技術者にしかならないので実験や演習が各学年に入れてあります。実験は座学で学んだ内容を確かめる場所であると同時に、工学的な解析手法を学ぶ場所でもあります。低学年では基礎的な実験内容を行うことで、実験のやり方や器具の使用法を覚えたり、報告書の書き方など技術者の基礎を学びます。4、5年では専門性が高い実験を行い、理解をより深いものとします。

・工場見学

北九州高専は工業地帯のすぐ側に位置し、技術を学ぶには非常に良い環境にあります。2~4年生では実験の時間を割いて、前期・後期にそれぞれ1度、年2回近隣の工場見学を実施します。実際の工場を見る事は勉学の励みになると同時に将来の仕事を選ぶのに役立ちます。4年生では北九州ではなかなか見ることのできない工場を見学するため東京方面へ、数日間の工場見学に出かけます。また、4年生には「学外実習」、「長期学外実習」で実際に会社に出かけ就業体験をする機会を用意しています。「学外実習」では夏休みに1週間から2週間のインターンシップを行い、「長期学外実習」では後期、毎週特定曜日に会社に出かけ、終日実習を行います。

・卒業研究

座学で学んだ知識を利用して、未知の、又は誰もやっていない、人の役に立つ事柄を研究するのが卒業研究です。ここでは研究を計画し、必要な情報を自ら入手し勉強して、目的の結果を得る練習を行います。その結果は卒業論文の形にまとめ、内容はプレゼンテーションによって、他の人に伝えます。この一連の作業は技術書を読んだり、実験を工夫したり、いろいろな事を行うため、これからの技術者にとって重要な素養である創造力、思考力、表現力、コミュニケーション能力を高めるのに非常に有効です。従って、5年生では1年間かけてじっくり卒業研究を行います。

卒業後の進路

就職に関しては、近年生産拠点がアジアに移行して日本が構造不況に陥ってからは、就職者が少なくなる傾向にあります。企業もしっかり学生を選ぶので決して簡単に就職が決まる状況ではありません。以前は技術者としての素養が最も重視されていましたが、加えて今では人とコミュニケーションがとれるか等バランスのとれた人間性が要求される時代になってきています。これに応えるには素直な心が必要です。進学に関しては、更に専門の勉強をしたいと希望する者が増える傾向が続いています。進路としては、本校の専攻科が約半数、他は国立大学の3年次編入学です。何れにしても進学を希望する場合は、個々に試験内容が異なるので早めに情報を入手して準備をする必要があります。